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中国琵琶ソリスト 楊静
この1年の話題から

99年1月25日サントリーホールの都響定期で、三木稔作曲《琵琶協奏曲》の通常オーケストラ版を初演した楊静は、始めての聴衆から異常ともいえる回数の熱いアンコールを受けた。専門家の批評も100%極めてポジティヴであった。例えば−

◆楊静の弾く中国琵琶の魅力にすっかり圧倒された。バチ無しで義爪だけの弾奏だがその指捌きの鮮やかさは目もくらむぱかりで、アルペジオ、グリッサンド、ハーモニックスなど、繊細で多彩な音色はまるで虹のよう。デリケートな詩から情熱的な劇まで、楽器の個性を生かし切った表現力、訴求力に強く惹き込まれた。(結城亨、音楽之友3月号)

◆(三木の)「琵琶協奏曲」、楊静による輝かしい琵琶独奏(長木誠司、朝日2月8日)

◆(三木の)琵琶協奏曲は、唐時代の詩人白楽天の詩「琵琶行」に触発して書かれ、詩の内容に沿って音楽も展開。ソロの中国琵琶演奏を充分すぎるくらい堪能できるように配慮して構成されている。幼い頃から琵琶を始め、現在プロの奏者として世界で活躍中の楊静の演奏は実に見事だった。全般的に琵琶のヴィルトゥオーソ的な活躍が目立ったが、例えば第二楽章で静に叙情的に歌われる旋律なども、深さと渋みのある演奏で、楊の力量の大きさが窺われた。(鈴木香桜梨、音楽の世界3月号)

9月3日、イングランド中部の町チェスワーデンでは、前年の楊静のボランティア演奏に感動した町民が、改装したホールに"Yang Jing Hall"の名を冠し、彼女のソロコンサートで再オープン。11日、イギリス・クラシック音楽界の夏の大イヴェントBBC PROMSのトリを飾る国民的行事"Last Night Concertt"に、民族楽器奏者として異例の出演をし、BCCウエールズ書と共演。雨中、名勝スワンシーの公園に集まった5000人の聴衆の大喝采を浴びる。

中国最大の北京国際音楽祭では、楊静をリーダー(Artistic Director)とする中国民族絃楽器四重奏団「郷梅静月」が、民族楽器を代表して、11月14日北京音楽庁(Beijing Concert Hall)に超満員の聴衆を得てコンサートを開催。三つのTV、新聞がこぞって報道。同内容のCDも発売される。この楽団は、北京の音楽のメッカである北京音楽庁が年数回主催コンサートを行っており、中心となっての演奏やプロデュース、さらに編曲・コメンテーターを務める楊静ともども急速に人気を高めている。尚、三木の《水廻る》《タ影の詩》が演奏され、楽団の方向を司るSupervisorを委任されている。


三木 稔