意識は物質なのか 営みの中で心のゆらぎほど不思議なものはない。 何が人間をそうさせるのか。 男と女、女と男 解くことの出来ない永遠の謎 江戸という時代に起きたことであるが、現世にもある。 人間の在り様を抽象の世界へと誘う。 人間これ楽しむ。 能の名匠、観世榮夫演出による芸大の“今後”を占う舞台作品。 |
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【あだ】あらすじ |
舞台は18世紀半ばの文化爛熟した江戸。 歌舞伎の女形として人気の雪之丞。彼には悲しい過去があった。幼年時代、裕福な商人であった父と母が、土部三斉、川口屋、広海屋という三人の男によって狂死させられたのだ。孤児となり歌舞伎一座の座頭・菊之丞に育てられた彼は、この三人への「仇討ち」をいつか果たそうと心に決めていた。今では土部は出世して幕府の要職につき、川口屋と広海屋も江戸で大商人となっている。 土部の娘・浪路は、将軍から側室にと望まれていた。しかし彼女は花形役者の雪之丞に激しく魅せられ、彼を屋敷に招いてひと夜の契りを交わす。純粋な彼女の心に触れ、いつしか恋心をいだくようになっていく雪之丞。それでも彼は、浪路を利用してついに念願の「仇討ち」を果たす。一方浪路は、雪之丞の本心を悟ってもなお彼への思いを捨て切れず、哀れにも命を落とす。 こうして「仇討ち」を成し遂げたものの、愛する浪路を失ってしまった雪之丞は、無常感と虚無感にさいなまれ、自ら僧門に入る。そして勤行のさなか、幻となって現れた浪路と、死んで結ばれる。 親の敵「仇(あだ)」、虚無感「徒(あだ)」、女形のなまめかしさ「婀娜(あだ)」。これらのあだの錯綜の中に、オペラ《あだ》はその姿を呈してゆく………。 |
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