《幸せのパゴダ》日本史オペラ9連作


2010年4月 三木稔

《幸せのパゴダ》の劇中劇の岩田達宗のユニークな台本が丁度退院に間に合ったので、『三木稔、日本史オペラ9連作』を完成させてからハイデルベルクに行こうと、3月末から準備を始め、モチヴェーションを高めながら今後2ヶ月集中して作曲する態勢に入っている。《愛怨》はその後の公演もsold outが続く勢いだと、劇場は連絡してきている。
イタリアと並んでオペラが生活に根付いたドイツでも、こういうことは《魔笛》や、《椿姫》など超有名なオペラで稀にある程度だと演出のネリーさんがメールをくれた。当初はインテンダントもオペラ監督もお客が続くか心配していたそうだが、1987年のミュンスターでの《あだDie Rache eines Shauspieler》が、その年の現代オペラ聴衆動員記録を作ったのを体験していることもあって、百年先には『日本史オペラ連作』も日本の古典オペラとして世界での上演が《魔笛》や、《椿姫》並みになると信じて書いてきた私も、グランドオペラ《愛怨》が、舞台の豪華さを押えて、音楽と演劇に集中した今回のヴァージョンで、自分が生きている間にそれら世界の古典と集客を競えるとは、私の想像を超える現象である。6月5日には絶対に会える、と劇場もスタッフ・キャストもレーゼさんも楊静も街の人も、待っていると言ってきている。3日、4日にはハイデルベルク大学や劇場で、私の『日本史オペラ連作』のレクチャーを開催したいと準備しているそうだ。80歳の関門を越えて、体調や気力もどんどんよくなるようなので、楽しみになってきた。


三木 稔