世界中に 今年こそ明るく夢多い日常が訪れることを
心から祈っています
昨年80歳を迎えた私は
オペラ《幸せのパゴダ》を6月末に書き上げ
《春琴抄》以来 他の作品と並行しながら創り続けてきたライフワーク
『三木稔 日本史オペラ9連作』
を37年を要して 遂に完成させることができました
これも皆様方の暖かい声援に押されてできたもので
心から感謝しております
ただ 各オペラ団体や劇場は
この世界的な不況下 悲痛な予算削減に直面しており
フルスコアまですべて完成した大作
《幸せのパゴダ》の初演予定は
まったく五里霧中の状態です
しかしこのような事態は 大オペラを書く作曲家の宿命だと観念しつつ着手した私です
連作としての目的意識の上でも
またQualityでも Quantityでも
これからオペラを書く世界中の作曲家の目標となり
100年先には 各オペラが最高の受容をされる
との確信で心を暖めています
《幸せのパゴダ》が背負ったきつい状況とは別に
とても嬉しいことがありました
第8作《愛怨》は ハイデルベルク劇場から
真摯に乞われて
彼らのシーズンの正規の演目として 昨年2月から
6月までに8回行われた
日本語歌唱(ドイツ語字幕)のドイツ初演が
各メディアからの絶賛と
毎回ほぼ完売という記録を残しました
これで私の5つのオペラが
欧米の劇場自体が企画したシーズンで
計40回上演されたことになります
《愛怨》のような大作のみならず
量的に20作ほどになる私のオペラ・音楽劇作品は
それぞれ新しい上演手段によって
人々の幸せに奉仕できており
たとえば 国内で1000回は上演されている
歌楽(モノオペラ)《ベロ出しチョンマ》が
12月下旬 ソウルで
パンソリの歌手と伽耶琴の演奏+影絵という
民族的かつ土俗的表現方法で注目を浴びました
ほとんど病床で書き上げた1時間のオペラ
《きみを呼ぶ声》は
エコ・オペラという作曲意図が受けて
カワイ出版から早速出版され
3月には オケピットのあるホールがない故郷
徳島でも地元勢で上演されます
2008年末から
昨2010年3月16日の誕生日前日までの1年半に
頭と腹の5回の手術をしましたが
それらは快癒しました
しかし 10年前に発覚した前立腺がんは
ホルモン治療も
女性ホルモン剤+抗がん剤も効かなくなりました
後は副腎皮質ホルモン剤 ステロイド系の薬が
効果するかどうかです
『日本史オペラ9連作』の完成で
大オペラへの思いは封印し
残るわずかの人生ながら 大切な日々に
書くべきものを書きつつ
もう一つのライフワークである
「日本を含むアジア民族楽器の交流と
現代化・国際化運動」
に捧げるため 頑張ります
国や民族や宗教を問わず
その「共生・共楽」のために尽くすわれわれに
皆さんの更なる応援を 是非お願いいたします
三木 稔