オペラ紹介と批評

オペラ《じょうるり》批評と訳
ニューヨーカー及びフィナンシャル・タイムズより抜粋

アンドリュー・ポーター

 西欧の劇場に対する日本の劇場の影響は、イエ―ツ、ブレヒト、ブリテン、ピーター・ブルック、ピーター・セラーズの作品でさまざまの形を取っている。《じょうるり》は、その形式や、婉曲さと率直さの対称や、ペースの驚くべき変化や、詩的な結末を準備する独創性において、新しく、きめ細かな西洋の反応を具現している。三木のスコアはあらゆる点でこのドラマにマッチし、生気を与え、劇を演じきっている。
 全てのクロス・カルチャーの作曲家の中で、三木は個性的で、しかも高度に表現力をもった音楽言語をもって、日本と西洋の要素をおそらく最も成功裏に結びつけた作曲家である。《じょうるり》の音楽は、その繊細さにおいて、並みの表現でないという点において、感動的な音色の配合において、柔軟なリズムと運びにおいて、さらにまた感銘的な旋律線において特筆すべきである。
 上演はブリリアントであった。聴衆は魅了され尽くしたようで、最後の瞬間、深い感動の表現である静寂が生れ、それは次第にブラボーに、そして長いスタンディング・オベイションに移っていった。
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三木 稔