三木 稔 Home Pgeへ 主宰・関連団体

結アンサンブル
「結アンサンブル」の演奏形態の一つ
 結(ゆい)とは、互いに助け合う精神。主宰者・三木稔の作品の中には、東西楽器を組み合わせた《結I》《結II》《結III》などの曲がある。「結アンサンブル」は、三木の作品を楽団のアイデンティティーとし、それらの最高の演奏者を随時結集して自由な活動をすべく、1990年に創立し、同年2月22日東西楽器の室内楽コンサートで出発した。その活動は、たとえば91年オペラ《あだ》の器楽担当、92年キング・レコードの4枚組CD「日本の四季」のレコーディング、93年香港大学120周年の招待演奏、95年組オペラ《隅田川/くさびら》初演の器楽担当、96年沖縄縦断公演、96,97年四国公演、97年「上海の春」音楽祭の招待公演というように多角的に行われている。古今東西を自在に結ぶ三木稔の講演やレクチャーと組み合わせてのトーク&コンサートが特に多い。98年から2000年にかけては、三木がオペラ《源氏物語》に集中したため中断していた活動を01年より再開した。
02年5月大阪國際室内楽フェスタ

 02年は、三木作品の新鮮な体現者となった中国琵琶シズカ楊静の瞠目の演奏を中心に、ヴァイオリン三木希生子・チェロ橋本しのぶ・マリンバ&打楽器臼杵美智代の4人のために大作《東の弧》を新作し、「楊静&結アンサンブル」による三木稔作品特別演奏会として4月20日津田ホールでのコンサートを行った。(批評参照)
5月には第4回大阪國際室内楽フェスタに同メンバーでの《東の弧》の演奏で参加、世界各地からの126団体から選ばれて「フォルクロア特別賞」を受賞。03年・04年・05年は三木がオペラ《愛怨》作曲に集中する中でも「よんでん文化振興財団」の派遣助成を受けて毎年「楊静と結アンサンブル」公演を四国各地で行い、四国の聴衆は通常接し得ないユニークでパワーフルな音楽に感動を寄せている。06年三木が創立した八ヶ岳「北杜国際音楽祭」では、三木が提唱する「東西音楽交流の聖地創り」の理想に沿い、アジア アンサンブルやオーラJと共に、音楽祭を支える常連として、世界各地から招聘されるアーチストたちと共に、毎年8月「共生共楽」の実を挙げている。2008年6月銀座王子ホールで「結の会20周年記念」として行われた「楊静リサイタル」では、《琵琶協奏曲》と合わせてカメラータレコードからCDが出ている「結アンサンブル」のメイン・レパートリー《東の孤》と《平安音楽絵巻》カルテットヴァージョンを演奏して、東京の聴衆に強いアピールを行った。

 一方、オペラ《源氏物語》の器楽ソリストとして、アメリカでの世界初演と日生劇場での日本初演で注目を浴びた楊静と二十絃筝木村玲子に、尺八坂田誠山を加えたトリオを編成、《源氏物語》の素材を活用して組曲《平安音楽絵巻》トリオ・ヴァージョンを作曲。このトリオによる「結アンサンブル」は、バリ島アート・フェスティヴァルや香港の招きを受けて、02年7月上旬に両地を巡演した。日中3楽器の最高級のソリストによる国際的なアンサンブルとして『結』の理想を伝え得た。尚、この編成は、外モンゴル馬頭琴ソリストのバト・エルデネと、中国大三絃ソリストの費堅容を加えて、同2002年に三木が主宰して創立した「アジア アンサンブル」に引き継がれ、目的を分けてそれぞれの活動を続けている。

バリ島アートフェスティバル
香港公演

 「結アンサンブル」は、異種楽器の組み合わせに限らず、洋楽器だけ、邦楽器だけ、声楽の加わるレパートリーも様々に持っており、日本・アジア・西洋それぞれの伝統的要素を生かし交えつつ、新たな音楽様式を生み出そうとするマルチ・カルチャー楽団であり、必要なときには三木稔が作曲して目的達成に努めている。
 世界各地に民族意識が異常に高揚する現代、その不幸な対立の時代を終えて、文化的にも互いの特徴を認識しつつ、異質な者も積極的に含めた幸せな『結』に立ち至りたいというのが「結アンサンブル」の願いである。

2009年4月
結アンサンブル主宰・代表  三木 稔


三木 稔