国民文化祭2007グランドフィナーレで初演されるべく、徳島県の委嘱で作曲された《ふるさと交響曲》The Folk Symphonyは、2管編成のオーケストラと尺八2部・筝3部・三味線を含む邦楽器群が、日本の伝統的な民謡や民族音楽の要素を生かしつつ交響し、最後に混声合唱が参加、このために新作された「ふるさとの風」(三木那名子作詩)を高らかに歌いつつ、類まれな日本の自然と文化をおおらかに賛美する。三木稔の交響曲に数えれば、これは第7番。「木曾節」「さくらさくら」「碓井馬子唄」「南部牛追い歌」「阿波踊り」「鹿の遠音」「谷茶目」の旋律が順に現れ、最後に再び聞こえる「さくら」のモチーフをきっかけに、テーマたる「ふるさとの風」に入る。徳島に発し、日本のどこででも演奏でき、世界の誰の心にも訴える異色の交響曲を望んで作曲され、2007年11月4日夜、徳島郷土文化会館にて、徳島祝祭管弦楽団、徳島邦楽集団、徳島県合唱連盟、指揮:生駒元で初演された。
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ふるさとの風
詩:三木那名子
ふるさとは 風に乗って
私の背中を なでていく
なつかしい香りを運びながら
ふるさとは 祭りに乗って
私の肩を 叩いていく
ひろげた両手に遊びながら
ふるさとは 言葉に乗って
私の耳を 包んでいく
冷たい心も暖めながら
ふるさとの言葉は 芽生えを生み
ふるさとの祭りは 彩りを創り
ふるさとの風は 勇気を生む
わがふるさと 永遠(とわ)に
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【注】初演の徳島県国民文化祭では、最後の「ふるさと」の代わりに、作曲者の指示で「徳島」と歌われた。他県での演奏でも、これに倣った入れ替えが許されている。 |