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アジアアンサンブル 04 東京公演
プログラムと解説
チラシ

第1部
1.Origin(三木 稔 作曲)より第3部  
 演奏=尺八:坂田誠山、
    馬頭琴:A. バトエルデネ、
    中国琵琶:シズカ楊静、
    新箏:木村玲子、
    大三弦:費堅容
OriginはOrientと同義語であり、アジアの演奏家たち共生共楽できる室内楽曲の起源を創る抱負を持って作曲された。今回第3部を単独演奏するために短いイントロが作られ、それに続いて、中国風のメロディーと日本の「さくら」が毎小節交互するゆったりした共楽の旋律が各楽器の個性を尊びながら演奏される。そして歌う部分と手遊び的な部分が交錯しつつ広がりながら加速していく。02年岡崎シビックセンター委嘱作品

2.V seasons(佐藤容子作曲)  
 演奏=同上
各奏者がそれぞれ独自の季節感を漂わせるフレーズを次々に奏で、想像上の五番目の季節を志向する。アジア アンサンブル03年委嘱作品で今回はShorter version。

3.叙事詩「生涯」(Ts.アルタンゲレル作曲)
 演奏=馬頭琴ソロ:A. バトエルデネ
誕生から死までの人の生涯に遭遇するさまざまな出来事を、馬頭琴の2本の弦で切々と弾き語る。

4.辺賽之夜(費堅容作曲)
 演奏=大三弦ソロ:費堅容
雲南の少数民族の山深い村(辺賽)で、祭りの夜、若者たちが賑やかに歌い踊る様子をイメージして書かれた大三弦曲で、費堅容は中国の全国第3回音楽作品一等賞を受賞。

5.Line Drive (Donald R. Womack作曲)   
 演奏=尺八:坂田誠山、
    中国琵琶:シズカ楊静、
    新箏:木村玲子
04年オーラJ委嘱作品として書かれ、1月、ハワイ大学で初演された。今回は(中間部を作曲者指示にもとに省略して)日本初演となる。"Line Drive" という題名は曲の特徴と構成、両方を言い表している。野球用語でもある "Line Drive" の如く、力強く、まっすぐな印象を伝える。この曲の特徴は、テンポの速い切分リズムによって生み出される、追い立てるような力強さである。切分リズムは線的な旋律によって構成され、三つの楽器は、しばしば同じ旋律を演奏するか、またはそのバリエーションを演奏する。結果として、馴染み深い伝統楽器の音を使いながらも、独特な手法を有する作品となった。

第2部
6.秋の曲(三木 稔 作曲)
 演奏=尺八:坂田誠山、
    新箏:木村玲子
1980年作曲。この編成のduetで演奏者や聴衆から最も愛されている曲で、「序章」と「Autumn Fantasy」の2章からなる。尺八・新箏のみならず、フルート・オーボエ・ヴァイオリンからファゴットまでが尺八パートを、ピアノ・ハープが箏パートを演奏し、Autumn Fantasyとして国際的に流通している。

7.亀茲舞曲(シズカ楊静作曲)
 演奏=中国琵琶:シズカ楊静
天山南路の亀茲はイスラム文化の中心。その音楽は燕樂と言われ、それをイメージした楊静はこの琵琶曲で、94年中国作曲コンクール一等賞を受賞。04年中国琵琶コンクールでは課題曲であった。

8.riverrun(Martin Regan作曲) 
 演奏=尺八:坂田誠山、
    馬頭琴:A. バトエルデネ、
    中国琵琶:シズカ楊静、
    新箏:木村玲子、
    大三弦:費堅容
ジェームスジョイスの詩的な題名を借り、作曲者がアラスカのネナラ川を筏で下った際の印象をもとに書かれた。音楽は溢れ出るような、終わりのない川の流れを象徴する。
アジア アンサンブル03年委嘱作品で今回はShorter version。

9.ワッWa(三木稔作曲《わ》によるインプロヴィゼーション)
 演奏=尺八:坂田誠山、
    馬頭琴:A. バトエルデネ、
    中国琵琶:シズカ楊静、
    新箏:木村玲子、
    大三弦:費堅容、
    打楽器:(特別出演)臼杵美智代
《わ》は1976年に作曲された邦楽器の六重奏曲で、カーネギーホールで初演の折、作曲者が打楽器を担当した。「アジア アンサンブル」では楽器の半ばをアジアの楽器に変えている。原曲後半の自由な雰囲気の部分からスタート、指定の構成に従って各楽器が得意なカデンツァを演奏、それに絡んで即興を得意とするソリストたちが自在なセッションを展開、最後に原曲に帰る。


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