オペラシアター歌座
オペラシアター歌座
1986年、三木稔が主宰して創立(最初うたよみ座)した歌座は、日本の土壌に立ち、国際的な視野と独自の音楽劇様式を持った作品の創造・上演活動を志した。1983年芸団協委嘱で作られたミュージカル《うたよみざる》のユニークな民族音楽劇的達成を基本に、歌唱面で故・友竹正則、演出面でふじたあさやの協力を得て、1993年までに下記のレパートリーを作り上げた。芸術監督:三木稔
フォーク・オペラ、またはそれに近い演目
- フォーク・オペラ《うたよみざる》 川村光夫作/三木稔作曲(2時間)
- フォーク・オペラ《よみがえる》 草野心平詩/三木稔作曲(1時間40分)
- オペレッタ《牝鶏亭主》 河野哲二・松木ひろし台本/三木稔作曲(45分)
- ミニ・オペラ《花園にて》 ふじたあさや作/三木稔作曲(20分)
- オペラ《水無川》 ふじたあさや作/大田桜子作曲(25分)
- フォーク・オペラ《オロチ伝》 ふじたあさや作/三木稔作曲(50分)
- 児童オペラ《ききみみ》 ふじたあさや作/三木稔作曲(20分)
歌楽様式の演目
- 歌楽《ベロ出しチョンマ》 斎藤隆介作/三木稔作曲(28分)
- 歌楽《鶴》 蓬莱泰三作/三木稔作曲(30分)
- 歌楽《まぼろしの米》 秋浜悟史作/三木稔作曲(18分)
- 歌楽《月の兎》 若林一郎作/三木稔作曲(17分)
身体表現を伴う歌曲様式の演目
- 21の小歌曲集《のはらうた》 工藤直子作/三木稔作曲
- 唱歌(しょうが)による囃子《歌囃子》
1990年には、東京における《うたよみざる》公演が次の受賞理由により文化庁芸術祭賞を受賞。「民話に取材した川村光夫の台本と、民族楽器や方言の特性を生かした三木稔の作曲による独創的な作品で、歌唱・演技とも熟達した統一感のあるアンサンブルによってみごとな舞台成果を生んだ。日本の音楽劇の新しい可能性を示したものといえる。」
芸術文化振興基金の助成も第1回より多額受けられるようになり、音楽と演劇、伝統と現代、東洋と西洋、芸術上の前衛性と大衆性といった包括し難い対象の統一に挑みつつ、より広範な活動の展開に向かった。
しかし,創立者で主宰者の三木が《ワカヒメ》《静と義経》などの大オペラ、《舞》《Z Concerto》などのオーケストラ作品、《黄の鐘》などの大きな邦楽器作品の作曲に加え、93年に始まった「オーケストラ・アジア」の活動で多忙を極める中、健全な会計とともに代表職を預けていた製作者が、折からのバブル崩壊の影響を受けて、自身の事業が暗礁に乗り上げ、当座は余波で受難。また創立時から三木が要請して実現し、90年前後の5年にわたって好評を得ていた文化庁の学校訪問公演も中断したため、芸術上の如何なる強固な意志も経済条件には勝てず、1994年頃より新しい仕込みは一時ストップせざるを得なくなった。但し、《うたよみざる》は上演依頼も多く、一定したスタッフ・キャストの練度も高く、一般公演や学校公演とも、わずかながら引き続き上演を重ねてきた。幸い文化庁の「ふれあい教室」や「本物の舞台芸術鑑賞教室」が《うたよみざる》を2001年より2003年まで再度取り上げ、自主公演も2001年熊本県松橋町ウイング松橋で再開。2002年12月3,4,5日には東京駒場エミナースで《うたよみざる》を新旧さまざまなキャストで、9年ぶりの東京公演として行った。《うたよみざる》の上演回数は2003年まで歌座だけで260ステージを数え、動員数約十数万人、聴衆の感動は衰えもせず、同一プロダクションとして日本のオペラ史上稀な長寿作品となっていた。
ところが、当該製作者とスタッフ・キャストとのギャップはますます広がり、長年《うたよみざる》などで高度な演唱をしてきた出演者たちは、本来の「歌座」や三木作品を愛し、当該製作者とは二度と仕事を共にしないと拒否している。上記のレパートリーは、スタッフ・キャストに関する限り短い練習期間でいつでも上演可能な状況下にあり、三木は一連の大オペラの作曲と改作作業を完遂した後、この愛すべきフォークオペラ運動の推進に力を注ぎたいと計画している。上記演目の上演を希望したり、「歌座」が行ってきた公演活動に関わる質問などがある方は、三木の下記メール・アドレス宛にメールを下されば、リーズナブルな返答をします。
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